Vol.002 ~ 変わっていく日本、変わらない日本

人工知能、IOTがもたらすインダストリー4.0、第四次産業革命と謳われる時代へ向かうこの時流において、製造業では、これまでの縦の繋がりによる垂直統合された企業連合から、水平展開する中小企業やベンチャー企業が、目的とする製品に必要な技術、部品を必要な時に調達し、互換性のある技術や部品を有する企業が他に見つかるとすぐに乗り換えらえるといった、いわゆるこれまで比較的中小やベンチャーでもてはやされていたファブレス化の流れがさらに進化した形で、大手製造業にも押し寄せています。

 

また、新規事業参入分野においても、GoogleのアンドロイドOSによる通信業界への参入を例にとってみても、基本ソフトを無料で配布することによりインフラとしての価値を企業に提供して利益を得る手法の採用など、これまでの価値基準や既得権益が根底から覆された事態も起こっています。一部では、新技術や異なる業界のルールに基づき意図的に現行ルールを崩して、新たなルールを構築することで業界勢力図を書き換え、既得権益を構築するようなケースもみられます。
まさに、私たちは今までにない、ルールやプレーヤーの実態把握が困難な時代に生きているといえます。

 

このような時代であるからこそ、我が国は常に変化を的確に把握し、その変化に追随することによって変化を積極的に起こしていくことが求められています。しかしながら、日本には高度経済成長の成功経験という大きな過去の栄光が邪魔をしている現状があります。これまで我が国は、先進諸外国の技術、製品等をキャッチアップして、それらを高い工作制度によりブラッシュアップすることによって付加価値を付与し、安い人件費を最大限に活用することで高機能低価格な商品を販売することによって成長を遂げてきました。これまでの日本の産業界はつまり、国際的なルール作りには積極的に関与せず、「良いものを作れば、顧客は購入してくれる」を盲信する志向がありました。しかしそれを許容する時代でないのも事実です。そうした奢りが、巨大メーカーが次々と分割や身売りをされる状況を作り出したとも言えます。

 

このことから今後の企業の事業戦略は、ルールにただ従うだけのプレーヤーではなく、技術やニーズ、他分野技術の転用などにより、常にルールを構築する側に立ち位置を変えることが必要になっていくでしょう。

 

マーケットにおける主導的な立ち位置を自ら作り出す戦略的なアプローチをしっかりと準備し、ルールメーカーとしてのポジショニングを確保することは、とても重要になっていきます。また、ライバルメーカーや、市場動向を読み解き未来を捉える知識や、新たな業界スタンダードを生み出す新規技術などが重要なポイントになります。

 

これらの技術や知識は、実は大企業ではなく個別の技術及びそのノーハウを持つ中小企業やベンチャー企業が幅広くつながることによって生まれる可能性が高いと言えます。移動・流通及び情報技術の進展は、このような横の連携において、強い味方となり、企業の立地条件に関係なく世界と直接渡り歩いていく商環境を実現していくでしょう。

 

変化は時として本来の自らの姿や特性を見失い、自分の強みを活かせなくなることやアイデンティティの崩壊を惹起させる恐れがあります。しかし、変化が求められるからこそ、自分のアイデンティティを形作る信念や個性を見つめ直し、技術や知識の根底を支える文化や信念を、変化の真っただ中にあってもぶれずに持ち続けることが、逆にとても重要なことであると思われてなりません。だからこそ、Japanは常に世界の変化を促しつつ、ぶれない中心となる信念や理念を、私たちを育んだ歴史に学び、確立する必要があると思っています。


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