Vol.004 ~ 農業の課題と未来

農業に代表される一次産業は、言わずもがな国家の安定的存続においてなくてはならない産業です。現在の日本における食料自給率は、平成26年度、カロリーベース39%、生産額ベース64%である。60%強の食料を海外に依存していますが、種類によっては、そのほとんどを海外に依存しているものもあります。また、1970年から開始された、米の生産調整(2007年から農業者による自主的生産調整)によって水田総面積の約25%(約51万ヘクタール)で稲作が行われていない状況が続いています。もし、水田が稲作を行わず長期間にわたり放置された場合には、以前のような品質や収穫を得られる土地になるには何年もの月日が必要となるのに、です。

一方、特定の作物においては、超高級品として取り扱われています。新潟魚沼に代表されるコシヒカリ、オタネニンジン(朝鮮人参)の特殊農産品などがその代表選手です。オタネニンジンは漢方薬の原料ではありますが、加工しない限り特殊農産品であり薬にはならないので、海外輸出にも食品として取り扱われています。

農村地域では、他にも過疎化、高齢化、農機具の高度化による費用負担の増大といった、多くの課題も存在しており、地方自治体においても大きな問題となっています。

日本の農業史においては、少数の大地主と多くの小作人によって運営がなされてきました。かつて小作人は組織化されておらず個々になっていたため、地主と対等な立場ではなかったので搾取を余儀なくされる立場にありました。

さて、現在の農業経営は、前近代的な家内制手工業的側面が存在しています。農機具の購入、計画的な作付けは行われていますが、農業全体としての組織体としての効率的運営は行われておらず、かつての食管制度とその思想を引き継ぐ減反政策により、人件費の概念が弱いのが実態です。

このような、状況が、国内における農業分野でのビジネスチャンスを小さくしています。大地主と多数の小作人といった構成をもし、多数の土地所有者、組織的企業体による小作人の構成にし、農業協同組合が、企業体に対する監視役として機能したらどうなるでしょうか?

土地所有者は企業体に土地を提供し、金銭又は現物で対価を提供してもらう。企業体は、その組織論やアイデア、資本力を使って効率的な農産物生産を行うと共に、市場ニーズに応じた作付けを行うことによる利益の追求が可能となります。人員は幅広く採用募集を行い、また、農機具は企業経営的な中長期展望に基づき購入、減価償却を行っていく。このように特殊農産物に特化した経営もあるだろうし、無農薬にこだわった付加価値の高い稲作に集中することも人員の確保ができれば不可能なことではありません。さらに、大規模なオランダ式農業の実施も不可能ではなくなり、土地所有者が企業体で労働力を提供することも可能になるでしょう。

過疎で苦しむ地方へ若者が帰り、企業体が法人税を払うことで地方自治体の財政的課題の助けとなることも考えられます。そして企業の社員の中からその土地に定着する人も出てくれば、人口減少への糸口にもなるかもしれません。このように、視点を変えてみるとことにより、新たな起業のチャンスは、地域にたくさん眠っていると私は思います。



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