Vol.005 ~ 霞ヶ関の利権

マスコミでは、霞が関の利権を一部のキャリア官僚(国家公務員1種試験合格者)が牛耳っているとよく耳にします。そもそも、霞が関の利権とは何であろうか?補助金の支給といった金銭的な配分権限とは別に、通常は法律で許可されていない行為に対する、許可の提供と言ったものがその本質ではないだろうか。郵便物が通常よりも安くなったり、本来は農業にしか使えない土地が、業凝地に使えるようになったり、普通の人は取り扱いができない物(商品)が特別に使えるようになったりすることだったり。このような法律などによる規制を管理するのが、まさに霞が関の行政なのです。
我が国は、地方分権と言いつつも、国が大きな権限を持って運営がされている上に、地方自治体は自治権や自由を要求する割には、中央政府への依存が大きいのが実情です。最近は、特区などによって、真に自由を求め自ら進んでいる地方自治体もいくつか見受けられますが、それでも多くの地方自治体は、霞が関に依存しながら運営されています。
先にも書いたように、このような利権を、マスコミは一部のキャリア官僚が牛耳っているというが、キャリア官僚は、おおむね数年で担当部署を異動します。それも今までとは全く違う担当部署へ異動するのです。また、彼らの業務は、新たな事業を作ったり、法律を改正したり、問題となっている課題の対応をしたりで、利権の中枢である規制や補助金の執行業務を行うような異動は、ほとんどないのが実態ではないでしょうか。
では、誰がこの規制や補助金の補助金執行を行っているのでしょうか?それは、ノンキャリと言われる国家公務員2種・3種の試験を経て国家公務員になった人々である。彼らは、霞が関や地方にある出先機関ですでに確立された行政事務を日々こなすのです。まさに、彼らこそが霞ヶ関の利権の守護者なのです。
ただし、彼らは、利権の守護することによって何がしかの利益を得るわけではない。彼らは、意識することなくそれぞれの役割を果たすことによって利権を頑なに守っているのです。一種の共通のイデオロギーに操られているといっても過言ではないでしょう。長年この状態が継続するとその結果、ゆがんだ明文化されていない規制が生まれ、偏った運用が贈収賄の温床になるのです。
彼らは、採用時に一定の人事グループに所属させられ、それぞれのグループ内の掟や考え方に基づき業務を教えられ覚えていくのです。このため、特定の利権に釣られるのではなく、無意識に利権を守護するようになるのです。この状況は非常に根深い問題であることはお分かりいただけるでしょう。自覚なく無意識に習慣として行うことから、そこに問題があることにすら気付けないのです。また、所属グループからの暗黙の圧力や慣例を変更することによる、未知のリスクに対する恐怖が行動を変えることができずにいます。
この反応は、霞が関だけではなく、多くの地方自治体でも蔓延しています。だからこそ、地方分権と言われても相変わらず中央政府に無意識に依存するのです。また、大手企業にも同様の反応が見られ、これがまさに官僚化(大企業病)の原因なのです。この結果、地方自治体や大手企業は、負のスパイラルに陥り負債を拡大させることから逃げられなくなるのです。
このようなことから、利権と人事運営は深く関連していることがわかっていただけたと思います。そして、慣例に流されることなく未来の我が国のために行わなければならないことが、これをお読みになったあなたにはもうお分かりのことと思います。勇気をもって進んでほしい、自分たちの子や孫のためにも。
なお、利権の守護神がノンキャリ官僚だからと言って、キャリア官僚がみんな清廉潔白だといっているのではないことは申し添えておきます。


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