Vol.008 ~行動こそが、知性を測る真の物差しである

宮内庁で長年、皇室医務主管を務められていた、故金澤一郎先生がよく仰っていたのは、「Mission(使命)、Passion(情熱)だけではなくAction(行動)が伴うことが物事を成し遂げるためには必要なんだ。」という言葉でした。

世の中には、Mission「使命」やPassion「情熱」を語る人は多くいますが、それをAction「行動」に移すことができる人が少ないと感じます。しかし、何かを成し遂げた人は、総じて理屈や口だけではなく行動が伴っているものです。

とある企業の経営者の方は、社員に対してビジネス書を読み実践することを要求したにもかかわらず、結局社員は、その経営者が推薦した本を読んでいないこと、もちろん実践なんて全くしていない状況を嘆いていました。

一方で、ビジネス書を電車や飛行機の中で一生懸命、読んでいるサラリーマンの方を見かけますが、どの程度の方が実践されているのかという課題もあります。

なぜなら、我が国の企業においては、慣習という名のもとに従来通りのやり方を頑なに続けている企業が多いからです。

たくさんの知識を蓄えていることはとても素晴らしいことです。でも、それを蓄えているだけで活用できなければ、ただの知識コレクターでしかありません。生きた知識とするために、何をしなければならないかのために、頭を使い、そして行動に移すことこそが重要だと思います。

書店で手に触れるビジネス書には、海外からくるものが多数あります。確かに理路整然としていて素晴らしいのですが、そもそもバックグランドにある国民性、社会制度、歴史、そして文化が私たちとは大きく異なることが多くあります。こういった背景からくる実践環境が異なることも、ビジネス書を読んで実践に移そうとしても、実践できず諦めてしまった方も多いかもしれません。

ビジネス書に書かれている手法の一つに、会議のときに特定の出席者にDevil’s advocate(デビルズ・アドボケイト:故意に反対の立場を取る人)の役割を担わせ、役割として文句を言わせて提案の穴や課題を洗い出す手法があります。この場合DA役となった人は、文句をつけることが役割であることから、文句をつけなければきちんと職務を果たしていないといって評価が下がってしまうとなります。

しかし、日本のビジネスシーンでは、会議で上役が提案する案に否定的な意見を言うのは、気が引けることがあるかと思います。海外でも同じで、意見に対して疑問を呈する様な意見は、(客観的な指摘が、私的な指摘にとられてしまい)のちに個人的な人間関係にまで影響することも有りなかなか発言しづらいようです。いくら役割だからと言ってもやはり文句を言われれば腹も立つし、その結果、提案が不採用となれば指摘した相手を恨むでしょう。このやり方が問題なく成立するのは、ビジネスとプライベートが完全に切り離された文化を持つ基盤の上に成り立つ組織なのです。

日本でこのようなことをやろうとすると、我が国の分化や組織の文化にあったやり方に変更することが必要であり、そのために、ため込んだ知識を総動員すること、そして実行することが必要なのです。また、古くからある業界では、デビルズ・アドボケイトの一側面だけを取り上げて現代社会規範から大きく外れた帝国主義的なエリート育成指導をおこなっていたりもします。それはそれで日本への最適化を履き違えていると言わざるをえません。

ここで課題になるのが、今までにないやり方を行うことは、非常に勇気が必要となります。その結果、失敗するかもしれません。その時は、そこで諦めるのではなく、なぜ失敗したかを見極めみんなで共有し、再度挑戦すること評価される環境が重要なのです。

だからこそ、故金澤一郎先生は、あきらめないための社会的要件としてMission(使命)、個人として諦めないためのPassion(情熱)そして、先に進むために必要不可欠なAction(行動)が必要だと、よく仰っていたのだと思います。



記事をシェアーする: